オリジナルCHO細胞のご紹介

CHO-Spica(オリジナルCHO)細胞のご紹介

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目次

  1. CHO-Spicaの特徴
  2. 製品の内容
  3. 各試薬によるトランスフェクション効率
  4. 安定発現用ベクターと細胞の性能
  5. 開発秘話

株式会社chromocenterでは、自社で独自に樹立したCHO-Spicaのライセンス販売を開始しました。pCHRベクターシリーズ及び無血清培地(SpicaM-100)も併せてご提供しております。


■CHO-Spicaの特徴

1.利用範囲

本細胞は、医薬品開発に限らず、幅広い用途でご活用いただけます。ライセンス、使用契約の詳細についてはお問合せください。

2.すぐにご利用可能

無血清馴化済み浮遊細胞、独自開発の無血清培地、安定発現用ベクター、一過性発現用ベクターを準備しております。また、細胞の取り扱いも一般的なCHO細胞と同様ですので、動物細胞の培養環境があればすぐのご利用が可能です。

3.生産細胞作製の全工程を無血清培地で対応可能

通常の培養時だけでなく、トランスフェクションやシングルセルクローニングといった工程も効率を落とすことなく全て無血清培地中で行うことができます。

4.一般的なCHO細胞よりも少ない作業量で高生産クローンを取得可能

当社提供の安定発現用ベクターには独自の弱化した薬剤選択マーカーを搭載し、ヘテロセルプールに含まれる高発現株クローンの割合を高める設計となっています。また、シングルセルクローニングでは、当社提供のプロトコールを用いる事で既存のCHO細胞より1桁程度高い回収率を実現する事が出来ます。



CHO-Spicaの特徴

名称 CHO-Spica(商標登録出願中)
細胞概要 チャイニーズハムスター卵巣から樹立した細胞株で、無血清浮遊培養に馴化しています。
HIV,HTLV,HBV,HCV,EBV,HPV等19種のウイルスおよび第十七改正日本薬局方に規定されているマイコプラズマ属菌種について否定試験を行い、いずれも陰性であることを確認しています。
チャイニーズハムスター
組織 卵巣
細胞様式 浮遊
推奨培地 オリジナル培地
適応培地 SpicaM-100
核型 汎用的なCHO細胞株(例:CHO-K1株)とは異なる染色体構成であることが確認されています。
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提供数量 1 mL (1×10^7細胞)
費用 1,000,000円 / 年(研究用途の場合)
商業利用をご希望される場合は別途契約が必要となります。

pCHRシリーズ(pCHR096、pCHR127)の特徴

ベクター概要 動物細胞によるタンパク質生産のためにデザインされたプラスミドベクターです。
pCHR096:安定発現株作製用ベクター
pCHR127:一過性発現用ベクター

pCHR096は高機能選抜マーカーを搭載することで、目的タンパク質の高発現株を効率よく取得することが可能となっています。
ベクタータイプ 哺乳類発現ベクター
選抜薬剤 Puromycin (pCHR096のみ)
提供数量 各1 μg
形状 超純水


■トランスフェクション効率

代表的なトランスフェクション方法で問題なくトランスフェクションを行うことができます。

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■CHO-SpicaおよびpCHRシリーズの性能

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安定発現用ベクターの比較

一般的な株であるCHO-K1株を使って、市販のCHO用ベクターとpCHR096ベクターの比較実験を行いました。ハーセプチン安定発現株を作製し、ヘテロセルプール・静置培養での抗体発現量を比較したところ約4倍の発現量が観察されました。


細胞の比較

pCHR096ベクターを使って、ハーセプチン安定発現株を作製し、CHO-K1株と当社CHO細胞での抗体タンパク質の発現量比較を行いました。ヘテロセルプール・静置培養では2倍弱の発現量が観察されました。



■開発秘話~オリジナルCHO細胞開発までの軌跡~

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株式会社chromocenter 事業部 鳥澤研究員

CHO細胞樹立までの開発秘話を紹介します!

『プロジェクトスタート』

2017年、当社は人工染色体ベクターの開発やバイオ医薬品開発サポート等の事業を進める中で、一つの問題と対峙することになりました。

それは、『研究』から『事業化』に進む際に、既存の細胞に課せられているライセンスという制限が想像以上に大きなハードルとして存在しているという事です。もちろん、私自身も研究開発に携わる立場にある人間として、ライセンスや特許などの権利の重要性は理解しています。それと同時に多くの制限が加わる事で、公共の利益となり得る研究を足踏みさせる訳にはいかないという気持ちも芽生えました。 ここから研究者がライセンスを足枷と考えることなく利用できる細胞があれば、より良い開発環境を整えることが出来ると思い、本プロジェクトがスタートしました。


『チャイニーズハムスターを入手せよ!』

手探りの中でプロジェクトは開始されました。
開始早々に最初の困難に直面します。何から手を付け、何をしていけば良いかを考えるところからのスタートでした。
そもそも、CHO細胞を樹立した経験のある日本人研究者はごく限られています。もちろん、社内にCHO細胞の樹立経験者はいませんでした。
そこで、CHO細胞に限らず、細胞樹立の経験がある方を探しては、話を聞かせてもらい、教えて頂いた内容が社内で実現可能か検討する日々が続きました。
それと並行して、国内で実験動物を扱っている会社にコンタクトをとり続けましたが、系統の分かるチャイニーズハムスターを販売している会社は1社もありませんでした。 同様に海外の販売会社も調査対象に加え、販売していそうな会社にメールを送りましたが、状況は国内同様で良い回答は1社もありませんでした。

ちなみに、海外企業とのやり取りは、全てメールで行われていました。そこで、メールではなく、一度は断られた会社の担当者に直接話を聞くため、電話したところ、1社から今でも販売できるという回答を得ることが出来、見積もりを取得しました。

その後、「なぜか海外の獣医師がサインを拒む。」「販売業者が突如、音信不通になる」「出荷予定日決定後のドタキャンを繰り返される。」等というトラブルを乗り越え、ようやくチャイニーズハムスターの卵巣が当社に到着しました。


『細胞の突然死の原因は?』

早速、細胞培養に取り掛かることになりました。 事前に調査していた培養方法通り、細かく切り分けた卵巣の組織断片を中心に日に日に様々な形態の細胞が溶け出すように培養容器の底に広がっていきました。順調に培養できていると思っていた矢先の6日目の朝、細胞が一斉に消えていました。
まるで破裂したかの様な痕跡だけを残して。

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細胞の突然死に呆然とする中、よくよく細胞を観察してみると組織断片周辺の一部の細胞が生き残っていました。生き残った細胞を救うためにも一刻も早く対策を講じねばと気持ちが焦る中、時間的にも細胞の量的にも試行錯誤する余裕のもない状況で何が最善手かを判断しなければなりませんでした。短期間で試せる限りの培地や培養条件を検討し、なんとか培養できる条件を見つける事が出来ました。
チャイニーズハムスターの命や入手の苦労を考え、焦りが出てくるなかで、この培養条件を見つけたときの安堵は今でも忘れられない感情として体に刻まれています。


『ライセンス販売可能なクオリティに!』

培養条件が見つかってからは、観察、培地交換、継代の繰り返しです。 ここから先は、ヒューマンエラーが命取りとなります。 操作は慣れていますが、コンタミネーションをしない様に常に緊張を保ち操作を行いました。大量の培養容器で根気よく培養を続け、約18ヶ月間でサイズ・形状・倍加時間がさまざまな複数の細胞株を樹立することに成功しました。 樹立と並行して実験を進め、結果として、高生産能力の細胞株を複数確認する事に成功しました!

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そして、一部の細胞株は目標であった浮遊化にも成功することができました。 その後、浮遊化に成功した株は、無血清馴化にも成功しています。

併せて専用培地の開発も2020年に第一弾が完成。
※2021年現在、用途に合わせた培地開発も継続中です。


2021年春、ライセンス販売を開始しました。


先程、高生産株を複数とお伝えしました。
別のキャラクターを持つ細胞として、現在も開発を継続しています。
そのご紹介は、また、別の機会に。

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